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2021-11-30

テザリングで IP 電話が使えない問題

 

 

テザリングで接続した場合、IP 電話は、多くの場合にレジストエラーになります。



これは、モバイルデータ通信網が CGN(Carrier Grade NAT:100.64.0.0/10)や、プライベートアドレス・クラス A (10.0.0.0/8)などを使用していることが関係しています。

 

 ※ CGN アドレスは キャリア網だけで使用される IP アドレスです。

  グローバル IP アドレス帯 のアドレスですが、プライベート IP 扱い です。

 

 

CGN やプライベート IP 割り当てされると、モバイル網の中ですでに NAT が使われていることになります。

 

 

テザリングではさらに別のプラーベートアドレスを割り当てされますから二重 NAT 状態になります。

 

 

これはテザリングの方法(WiFi / Bluetooth / USB-C)に依らずに共通して発生します。

 

 

 

IP 電話は SIP が使われますが、SIP はパケットヘッダーとは別に、ペイロード内に IP アドレスを書き込んでいます。

 

このアドレスはパケットヘッダーのそれとは異なり、ルーターでの NAT 変換の対象外です。

 


1段の NAT であればソフトフォンアプリの NAT Traversal により SIP が越えられますが 、二重 NAT の場合、越えられませんのでレジストがまず、失敗します。

 

 

詳しくは SIP と NAT の関係を調べてください。

 

ここでは詳細を割愛します。




スマホに設定した IP 電話(Softphone/GS Wave/Zoiper など)をモバイル網または、WiFi で使う場合は、NAT は1段ですので、越えられ問題はありません。





他キャリアや MVNO の多くと違い、OCN モバイル ONE の場合は現時点ではグローバル IP が割り当たっています。

 

 

 

テザリングでプライベート IP を割り当てられても二重 NAT にはならず1段の NAT ですから、NAT 越えが可能で、IP 電話のレジストエラーにはなりません。



OCN モバイル ONE も 2022年春以降は プライベート IP 化(または CGN 化)されます。

 

2022年春以降は、テザリング使用時は IP 電話がレジストエラーになります。




ブラウザやメーラーなど、大半のアプリは二重 NAT でもパケットは正しく NAT 変換され問題はありません。




二重 NAT の回避手段はユーザーレベルではありません。


 

 

IP 電話事業者が IPv6 に対応すればこういう問題はなくなるのですが。


SIP の IPv6 化は RFC3266 ですでに標準化仕様はありますが、多くの IP 電話事業者が未対応です。

 

 

相互接続や IP-POI が絡むので容易ではありません。

 



IP 電話 をモバイルで使用される方はこのようなことがありますが、多くの場合は実際的な問題はないでしょう。



「テザリング + IP 電話」の組み合わせでのみ発生する事象だからです。




まぁ、マイナーな使い方、ということです。

 

 

 

グローバルIP ではない「ポケット WiFi」でも IP 電話は使えません。

 

 





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