この記事で V6プラスに関する「ポート制限」について記載しています。
現在、自宅は楽天ブロードバンドになっていて、V6プラスから Xpass に変わっています。
改めて DS-Lite を含めて「ポート制限」に関して触れてみたいと思います。
ここでの「ポート制限」は外部から内部に向けての制限を指しています。
内部から外部へのアクセスについては制限はありません。
なお「ポート」とは 16ビットで表される数値コードで、インターネット上の「サービス」を意味しています。
V6プラス(MAP−E 方式)や transix(DS−Lite 方式)などの IPv4 over IPv6 技術は IPv4 のアドレス枯渇対策として考えられた、IPv6 への緩やかな移行のための技術です。
IPv4 サイトへと IPv6 サイトへのアクセスを、意識することなく可能になっています。
例えば IIJ のホームページは IPv4 と IPv6 の両方に対応しています。
どちらでアクセスしたかがわかるようになっていますが、このページを閲覧するための特別な指定は不要です。
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出典:IIJ のホームページの抜粋 |
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出典:IIJ のホームページの抜粋 |
のように表示されますので、IPv4 でのアクセスか、IPv6 でのアクセスかがわかります。
IPv4 over IPv6 の技術方式は、MAP-E、DS-Lite、4rd/SAM の3つに分類されています。
このうち MAP-E と 4rd/SAM については制限はあるものの IPv4 のポート開放が可能です.
NAT 変換をルーターで行っているのでポート開放が可能になっています(NAT ステートレス)。
DS-Lite の場合は IPv4 のポート開放は不可です。
これは NAT 変換を VNE 側(Virtual Network Enabler)で行っているためです(NAT ステートフル)。
つまり「ポート開放」は NAT 変換と密接な関係があります。
ここでは NAT 変換については触れませんので、興味のある方はネットで検索してください。
いずれの方式でも IPv6 のポート制限 はありません。
現在、4rd/SAM は国内では提供されていません。
ソフトバンク BB(VNE:BBIX)が 4rd/SAM といわれていましたが、グローバルアドレスは共有されておらず、4rd ではない、と BBIX が見解を出しています。
BBIX では「高速ハイブリッド」と称しています。
これは「IPIP+ IPoE」となっており、このことから MAP-E の固定アドレス方式と同等ではないかと推察されます。
IP アドレスは Radius 認証されて払い出される
ソフトバンクは 数千万の IPv4 アドレスを保有しているといわれ、IPv4 を複数ユーザーで共有する必要性がないためでしょう。
したがって BBIX の「高速ハイブリッド」は IPv4 でのポート制限はありません。
ポート開放ができない、または制限がある と、どういう影響があるのでしょうか。
以下は IPv4 でのポート開放・制限に関するもので、IPv6 の場合は制限はありません。
1.外から自宅に VPN で接続(VPN サーバーを立てる)
DS-Lite はポート開放ができませんから VPN 接続自体ができません。
L2TP/IPsec:1701/4500/500 など
これらは割り当てられたポート番号の一つに変更すれば使えます。
DS-Lite はポート開放ができませんから外部からアクセスはできません。
MAP-E の場合、割り当てられたポート番号の一つに設定できる場合は
外部からのアクセスが可能です。
3.家庭内電気機器(エアコンなど)を外から制御する
DS-Lite はポート開放ができませんから外部からアクセスはできません。
MAP-E の場合、割り当てられたポート番号の一つに設定できる場合は
@niftyフォン ほか一部の IP 電話サービス
→ 戻りパケットが割当て外ポート番号固定のため戻れないことが原因か
ブラステル / SMARTalk / 050Plus / G-Call050 など。
6.自宅の WEB サーバーや FTP サーバーを公開する
一般公開の場合は標準ポートを使うことが望まれます。
ftp-data:ポート番号 20
例えば WEB サーバーを一般公開する場合、http(80)または https(443)をポート開放する必要があります。
ところが 80 や 443 は MAP-E 方式ではポート制限にひっかかり、ポート開放はできません。
割り当てられたポートの一つ(例えば "12345")を開放し、これを WEB サーバーに割り当てればアクセス可能ですが、
のように開放したポート番号を付加する必要があります。
自分がアクセスするだけならともかく、ほかの人からのアクセスを許可したい場合は "12345" を付加してもらえません。
これらの制限は IPv4 に対してであり IPv6 の場合はポート制限はありません。
ポート開放の制限を回避する方法はいくつかあります。
MAP-E は可能ですが、DS-Lite 方式はポート開放自体が不可です。
2.IPv4 ではなく IPv6 でできるならば IPv6 でポート開放する
MAP-E / DS-Lite いずれの場合でもポート開放可能です。
3.PPPoE 接続を併用し、PPPoE 配下で使う
速度低下は網終端装置の帯域制限のために起こります。
例えばウチでは楽天ひかりの Xpass を使っています。
Xpass は DS-Lite 方式 ですので、IPv4 でのポート開放はできません。
外出中でも自宅ネットワークに入れるようにするためには、VPN 接続が必要です。
DS−Lite 方式の場合 IPv4 では VPN サーバーのポート開放ができないので VPN 接続できません。
そこで IPv6 で Wireguard VPN サーバーのポートを開放し、接続できるようにしています。
つまり IPv4 でのポート開放不可問題を IPv6 で解消しているわけです。
V6プラス時代は IPv4 で割り当てられたポートの一つを開放して Wireguard VPN 接続していました。
Xpass に変更するのを契機に、まずは V6プラス で IPv6 によるポート開放をして Wireguard VPN 接続ができるようにしました。
これにより、V6プラスから Xpass に乗り換えてもなんら問題なく Wireguard VPN 接続可能になっています。
VPN で自宅ネットワークに接続できれば NAS アクセスや WEB カメラ監視、家庭内電気機器類の制御などは自由です。
IP 電話はブラステルをイエデンで使っていますが、これは Xpass でもそのまま使えています。