2020-02-23
SATA SSD と M.2 NVMe SSD
SSD には大きく「SATA 型」と「M.2 NVMe PCIe 型」があります。
SATA 型には SATA と、M.2 SATA がありますが、どちらもインタフェースは SATA なので、ひとくくりにして「SATA 型」とします。
接続インタフェースが SATA か PCIe かの違いです。
SATA は HDD の接続用に規格化され、SSD も当初はこの規格に合わせて製造・販売されたといういきさつがあります。
転送速度は最大 6 Gbps です。
一方 PCIe は拡張バスインタフェースとして生まれ、第1世代から第6世代までが規格化されていて、現時点での主流は第3世代です。
また「リンク幅」という規格があり、x1 〜 x64 まであります。
x4 で 3.938 GB/s の転送規格です。
この PCIe に接続するタイプの SSD の論理インタフェースが NVMe といわれるものです。
またスロットに差し込む端子の規格が M.2 といわれるものです。
M.2 は mSATA の後継として規格化されましたが mSATA との互換性はありません。
「SATA 型」と「M.2 NVMe 型」はそれぞれ、次のような長・短所があります。
SATA SSD の「速度は速くない」は M.2 NVMe SSD に比べての話しで、500 MB/s 前後はでますので、十分に速いのです。
容量単価については M.2 NVMe 型ながら SATA 型よりも安いものがすでにでてきていますし、発熱量も少ないものがあります。
そうなると、M.2 NVMe の「短所」が薄れてきますので、装着するスロットがない、とか外付けの場合の接続ポートが高速なものがない、ということ以外には SATA 選択する理由はなくなってきます。
KINGMAX M.2 MVMe PCIe3.0x4 SSD KMPX3480 は容量単価も発熱量も SATA 型よりも優れています。
したがってこの SSD と SATA SSD の比較では SATA SSD を選択する必要性はまったくなくなります(価格的にも、USB3.0 しかない PC でも、という意味でです)。
さて、M.2 NVMeの長所である「圧倒的な速度」を活かすにはどういう使い方がいいでしょうか。
一番は「マザーボードの PCIe スロット」に差し込んで使うことです。
マザーボードに M.2 NVMe SSD スロットがあればココに差し込んで使います。
なければマザーボードに M.2 NVMe SSD 用の拡張カードを装着して、この拡張カードのスロットに M.2 NVMe SSD を装着して使います。
これは M.2 NVMe SSD の最大性能を引き出す使い方になります。
仕様の 3400 MB/s くらいまでの速度がでるでしょう。
これが困難な場合は外付けで使用しますが、高速ポートの有無で判断することになります。
ポートは大きく次の3種類あります(Thunderbolt1 or 2 や USB2.0 などの古い規格は割愛します)。
・ Thunderbolt3(40 Gbps)
・ USB3.1 Gen2(10 Gbps)
・ USB3.1 Gen1( 5 Gbps)
それぞれのポートに対応ケースを接続した場合の転送性能との関係は次のようになります。
この表の転送性能は Sequential Read 性能の目安値です。
ケースですが、USB3.1 Gen1 対応品は現在はないかも知れません。
USB3.1 Gen2 ケースが兼ねるからでしょう。
この場合は 500 MB/s 前後の速度になります。
Thunderbolt3 対応ケースは1万円以上しますが、USB3.1 Gen2 対応品は 3,000 円前後です。
「性能重視・高価格ケース」か、「価格重視・ほどほど性能ケース」か、ということになります。
KINGMAX 製の M.2 NVMe SSD の性能を活かすには Thunderbolt3 接続なのですが、USB3.1 Gen1(USB3.0)接続でも、性能は 500 MB/s 前後になりますが SATA 並みの価格なのでありでしょう。
USB3.1 Gen2 接続ならば 1000 MB/s 前後の速度になります。
また、M.2 NVMe SSD 対応ケースはコンパクトですから持ち運びも楽です。
大きさは TDBT のケースの場合で 111mm x 43mm x 15mm です。
Thinderbolt3 ケースの場合、TREBLEET で 99mm x 45mm x 12mm です。
SATA ケースは ineo の場合 128mm x79mm x 13mm です(M.2 SATA 用ならば幅は概ね 2分の1)。
Thunderbolt3 ポートがあるなら、多少高価格になっても長い目でみれば Thunderbolt3 対応ケースにする方が満足できるでしょう。
2020-02-21
非常にコスパ・性能が優れる M.2 NVMe PCIe3.0x4 SSD
"KINGMAX M.2 MVMe PCIe3.0x4 SSD KMPX3480-512G" という製品です。
KINGMAX はメモリ製品や SSD を製造販売する台湾のメーカーです。
台湾メーカーの活力、「とにかく作っちゃえ、売っちゃえ、そのうちにメジャーになる」というパターンでしょう。
そうやって、世界的に有名になってブランドを確立した台湾の電子機器メーカーは多いので、KINGMAX もそうした企業の一つだと思われます。
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製品画像から |
性能仕様は,
・ Sequential Read : 3400 MB/s
・ Sequential Write: 1950 MB/s
・ Random Read : 350 KIOPS
・ Random Write : 430 KIOPS
・ MTBF : 200 万時間
となっており、3年保証となっています。
少し気になるのは MTBF が 200万時間という点です。
この数値は HDD とかわらず、SSD にしては 1桁少ない感じがします。
耐久性などの試験検証環境がないのか、していないのか定かではありません。
詳細データシートがありませんので、TBW や キャッシュサイズなどは不明です。
TREBLEET ケースに装着して Thunderbolt3 接続での性能測定結果は次です。
性能仕様では Samsung 970 EVO Plus の方が上ですが、実測では KINGMAX が概ねこれを上回っており、非常にコストパフォーマンスがいい。
970 EVO Plus の実測は次に示しますが、これと比較しても素晴らしい性能値です。
発熱は少なく、TREBLEET のケースに装着して高くても 45 ℃、概ね 35 ℃ 以下です。
TREBLEET ケースは発熱対策がいま一つですが、それでもほとんど 35 ℃ 以下は素晴らしい。
Amazon 価格で 970 EVO Plus が 15,000 円 するのに対して 7,880 円 と、ほぼ半額です。
500 GB クラス最安値で、970 EVO Plus に匹敵する高性能品は他には見当たりません。
企業がまだ発展途上と思われ多少、気になる点はありますが、おすすめできる製品だと思います。
この製品の S.M.A.R.T. 情報は次のようになっています。
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書き込み数は性能測定や、2 GB 程度のファイル・フォルダを何回かコピー検証しただけですので、まだ少なくて 145 GB です。
[このMacについて] => [システムレポート] => [NVMExpress] で TRIM オンも確認済みです。
2020-02-20
Samsung 970 EVO Plus MVNe SSD の S.M.A.R.T. 情報
「S.M.A.R.T. 情報」とは Self-Monitoring, Analysys and Reporting Technology の略で HDD や SSD に搭載されている機能です。
略なので「S.M.A.R.T.」とピリオドを付加して表現します。
これによってディスク基本情報のみならず、健康状態を確認できます。
iMac の外付け起動ディスクにしている Samsung 970 EVO Plus 250 GB の S.M.A.R.T. 情報は次のようになっています。
Firmware Version は 購入時の "1B2QEXM7" から "2B2QEXM7" になっています。
これも S.M.A.R.T. 情報 で確認できます。
この SSD を Mac で使用の場合、"2B2QEXM7" にしないとマウントが突然外れるエラーになり、安定して使えません。
"2B2QEXM7" にすることで、このような異常事象はなくなります。
$ smartctl -a disk0 … "-a" はすべて表示
INFORMATION SECTION と SMART DATA SECTION が表示されます。
"-A" の場合は SMART DATA SECTION のみが表示されます。
前者はこのディスクに関する情報です。
後者がディスクの現在の健康状態を示します。
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970 EVO Plus は ORICO の Thunderbolt3 ケースに入れて使っています。
Thunderbolt3 接続の場合、iMac の NVMe スロット装着に等価になっています。
上で示した S.M.A.R.T. 情報ではこの時点の温度は 41 ℃ です。
概ね 45 ℃ 以下で、ヘビーに使わない限り高温にはならないようです。
"Temperature" 欄は SSD 部の温度です。
"Temperature Sensor 1" は SSD 部の温度で "Temperature" 欄と同じものです。 "Temperature Sensor 2" は コントローラー部の温度です。
"Critical Warning" がゼロ以外は何らかのエラーが発生したことを示します。
また "Available Space" / "Available Space Threshold" は書き込み有効領域と、その代替領域のしきい値です。
前者が 100 % で後者が 0 % は何も異常がなかったことを示しています。
この NVMe SSD は 250 GB タイプで 150 TBW(Tera Bytes Written:総書き込み量) です。
TBW は寿命の目安となる「総書き込み量」を表しこの値が寿命といわれています。
1日に 20 GB 書き込むとして、
20 GB x 356 日 x 5 年 = 36.5 TB
が業界での寿命の目安とされていますが、150 TBW ですからこの 5倍あり、1日の書き込み量が 100 GB でも約5年、20 GB のままだと 25 年ほど保つということになります。
つまり、寿命はほとんど気にしなくてもいいということです。
一般的に容量が大きくなると TBW も大きい。
970 EVO Plus の場合、250 GB タイプが 150 TBW なのに対して、500 GB / 1 TB / 2 TB でそれぞれ 300 TBW / 600 TBW / 1200 TBW となっており、とてつもない長寿命です。
MTBF(平均故障間隔)は 1,500 万時間という、これもとてつもなく長い。
HDD の MTBF は 100 〜 150 万時間といわれていますが SSD はこの 10 倍以上が普通です。
さて、我が家の 970 EVO Plus は今日までで 3.94 TB の書き込み総量ですので、ここまでのペースで書き込み続けたとして、約 10 年は大丈夫、ということになります。
購入から 3 ヶ月経過していて、この間に何回か MacOS を書き込み直したり、性能測定などを繰り返してきてこの数値です。
それでも TBW からみて 10 年の寿命ということですが、今後は少し書き込みペースは鈍化すると思いますのでもう少し長いでしょう。
S.M.A.R.T. 情報は次のようにして機能させることができます。
1.brew をインストールする
2.brew を使って smartmontools をインストールする
ターミナルから smartctl コマンドで得られるようになります。
ちなみに Linux の場合は apt などで smartmontools をインストールします。
Windows の場合は、S.M.A.R.T. 情報 を見れるアプリケーションがいくつかあるようです。
S.M.A.R.T. 情報はディスク健康診断や現在状態の把握に大変役立つ情報です。
下に示したのは我が家にあるもう一つの NVMe SSD : WD Black SN750 500 GB の S.M.A.R.T. 情報です。
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こちらは書き込み総量は 1.90 TB です。
予備の起動ディスクですので、通常時はつないでいませんからまだまだ余裕ですね。
ATTO Disk Benchmark
Mac でディスク性能を測定するツールには次のようなものがあります。
・ AmorphousDiskMark
・ fio
・ Blackmagi Disk Speed Test
・ ATTO Disk Benchmark
簡易にはターミナルから dd コマンドでブロック単位を指定してファイルコピーすることで測定することもできます。
AmorphousDiskMark / fio 以外は Sequential Read / Write での測定になり、Random Read / Write 性能は測れません。
今回は 4番目の ATTO Disk Benchmark を使ってみます。
起動して、パラメーターを設定します。
QD = 32
Streams = 3
Pattern = Random
測定対象ディレクトリを【Add Disk】をクリックして設定
IO Size:Start 512B、End 64MiB
【Start】をクリックすると測定が始まりますので、【Bar Graph】をクリックして棒グラフ表示します。
終了するまで 約 3分かかります。
測定開始すると右欄の速度値がカウントアップされ、終了すると停止します。
この例では次の結果になりました。
Seq. Read:2.79 GB/s
Seq. Write:849.9 MB/s
棒グラフは MacOS 版では Windows 版よりも 90 度左回転した形で表示されます。
AmorphousDiskMark や fio での Sequential Read / Write 値とほぼ同じ結果です。
2020-02-16
mac の 起動ディスク性能を fio で測定してみた
fio の各パラメータを fio.txt というファイルに作成します。
[global]
ioengine=posixaio
iodepth=1
size=256m
direct=1
loops=3
runtime=30
directory=${DIR}
stonewall
[Seq 128K Rd QD32]
iodepth=32
bs=128k
rw=read
[Seq 128K Wr QD32]
iodepth=32
bs=128k
rw=write
[Rnd 4K Rd QD32]
iodepth=32
bs=4k
rw=randread
[Rnd 4K Wr QD32]
iodepth=32
bs=4k
rw=randwrite
[Seq 1M Rd QD1 ]
bs=1m
rw=read
[Seq 1M Wr QD1 ]
bs=1m
rw=write
[Rnd 4K Rd QD1 ]
bs=4k
rw=randread
[Rnd 4K Wr QD1 ]
bs=4k
rw=randwrite
これを読み込んで fio を実行し、スループットを見やすく編集して出すようにしました。
"DIR" は測定対象のディスクのディレクトリです。
ここに測定時のファイルが読み書きされます。
測定後は作成された測定用ファイルは不要なので削除します。
測定後のスループット値は KB/s で得られますので 1000 で割って MB/s にしています。
まずは Samsung 970 EVO Plus の測定結果です。
測定結果の詳細を見る場合は、--output 以下を取り除いて実行します。
iMac:fio $ DIR=/Users/u/Working/fio fio -f /Users/u/Working/fio.txt --output-format=terse | awk -F ';' '{print $3, ($7+$48) / 1000 " MB/s"}' ; rm /Users/u/Working/fio/*
Seq 128K Rd QD32 2797.81 MB/s
Seq 128K Wr QD32 445.604 MB/s
Rnd 4K Rd QD32 235.402 MB/s
Rnd 4K Wr QD32 455.921 MB/s
Seq 1M Rd QD1 1875.46 MB/s
Seq 1M Wr QD1 575.28 MB/s
Rnd 4K Rd QD1 102.175 MB/s
Rnd 4K Wr QD1 255.872 MB/s
iMac:fio $
AmorphousDiskMark Ver.1 系 と比較すると概ね同等なのですが、
Rnd 4K Rd QD32 と Rnd 4K Wr QD1 がかなり違っていますけれども桁が違うほどではありません。
AmorphousDiskMark Ver.2 系 は 1 系とは桁が違うほどの差異がありました。

次に WD Black SN750 の測定結果です。
iMac:fio $ DIR=/Volumes/WD_Black/Users/u/Working/fio fio -f /Users/u/Working/fio.txt --output-format=terse | awk -F ';' '{print $3, ($7+$48) / 1000 " MB/s"}' ; rm /Volumes/WD_Black/Users/u/Working/fio/*
Seq 128K Rd QD32 2806.99 MB/s
Seq 128K Wr QD32 2337.9 MB/s
Rnd 4K Rd QD32 169.424 MB/s
Rnd 4K Wr QD32 605.2 MB/s
Seq 1M Rd QD1 1862.6 MB/s
Seq 1M Rd QD1 1585.14 MB/s
Rnd 4K Rd QD1 41.561 MB/s
Rnd 4K Wr QD1 253.842 MB/s
iMac:fio $
こちらも Rnd 4K Rd QD32 と Rnd 4K Wr QD1 が少し違っています。

全般的に AmorphousDiskMark よりも低めの測定値になっています。
しばらくこのツールで検証を続けてみます。
性能測定は同じツールで検証することで、デバイスごとの性能値の相対比較ができます。
ここでの事例では、シーケンシャル性能(とくに書き込み)は WD Black SN750 の方が 970 EVO Plus よりもいいが、ランダム性能は両者ほぼ互角、ということでしょう。
このことは AmorphousDiskMark でも fio でも読み取れます。
別の方の検証ではキャッシュを使い切るまでの転送量は 970 EVO Plus の方が3倍くらいいいようですから、動画編集などや高精細ゲームなどは 970 EVO Plus がいいかも知れません。
ただ、使い切ったあとの転送性能は WD Black SN750 の方に分があるようですから、私見では、まさに両者互角とみています。
これら2つの M.2 PCIe3.0x4 NVMe SSD は双璧といっていいほどに現時点では最強かも知れないですね。
ランダムの性能値がほぼ互角であれば、使用中の体感的な性能が互角、ということです。
大量のファイルコピーは コピー先が WD Black SN750 の場合 に、コピー先が 970 EVO Plus の場合 よりも多少速いと思われます。
PC 環境条件などが異なる場合、相対比較にはなりにくいし、絶対比較はそもそもできないと考える方が自然です。
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