テザリングで接続した場合、IP 電話は、多くの場合にレジストエラーになります。
これは、モバイルデータ通信網が CGN(Carrier Grade NAT:100.64.0.0/10)や、プライベートアドレス・クラス A (10.0.0.0/8)などを使用していることが関係しています。
※ CGN アドレスは キャリア網だけで使用される IP アドレスです。
グローバル IP アドレス帯 のアドレスですが、プライベート IP 扱い です。
CGN やプライベート IP 割り当てされると、モバイル網の中ですでに NAT が使われていることになります。
テザリングではさらに別のプラーベートアドレスを割り当てされますから二重 NAT 状態になります。
これはテザリングの方法(WiFi / Bluetooth / USB-C)に依らずに共通して発生します。
IP 電話は SIP が使われますが、SIP はパケットヘッダーとは別に、ペイロード内に IP アドレスを書き込んでいます。
このアドレスはパケットヘッダーのそれとは異なり、ルーターでの NAT 変換の対象外です。
1段の NAT であればソフトフォンアプリの NAT Traversal により SIP が越えられますが 、二重 NAT の場合、越えられませんのでレジストがまず、失敗します。
詳しくは SIP と NAT の関係を調べてください。
ここでは詳細を割愛します。
スマホに設定した IP 電話(Softphone/GS Wave/Zoiper など)をモバイル網または、WiFi で使う場合は、NAT は1段ですので、越えられ問題はありません。
他キャリアや MVNO の多くと違い、OCN モバイル ONE の場合は現時点ではグローバル IP が割り当たっています。
テザリングでプライベート IP を割り当てられても二重 NAT にはならず1段の NAT ですから、NAT 越えが可能で、IP 電話のレジストエラーにはなりません。
OCN モバイル ONE も 2022年春以降は プライベート IP 化(または CGN 化)されます。
2022年春以降は、テザリング使用時は IP 電話がレジストエラーになります。
ブラウザやメーラーなど、大半のアプリは二重 NAT でもパケットは正しく NAT 変換され問題はありません。
二重 NAT の回避手段はユーザーレベルではありません。
IP 電話事業者が IPv6 に対応すればこういう問題はなくなるのですが。
SIP の IPv6 化は RFC3266 ですでに標準化仕様はありますが、多くの IP 電話事業者が未対応です。
相互接続や IP-POI が絡むので容易ではありません。
IP 電話 をモバイルで使用される方はこのようなことがありますが、多くの場合は実際的な問題はないでしょう。
「テザリング + IP 電話」の組み合わせでのみ発生する事象だからです。
まぁ、マイナーな使い方、ということです。
グローバルIP ではない「ポケット WiFi」でも IP 電話は使えません。
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