2020-01-06

iMac Mid 2011(激遅)を高速化して生き返らせる




海外に住んでいる長女が使っている iMac が Mid 2011 で OS のアップデートは High Sierra までとなっていて Mojave にはアップデートできない機種です。




HDD モデルで激遅らしく、新しく買い換えようかといっています。




当初は HDD でもそこそこだったそうですが、Snow Leopard に始まって 7回のアップグレードを経て High Sierra になっており、いろいろなゴミが蓄積して激遅になっていると思われます。



クリーンインストールするようなことは長女には無理です。






「いまのでも十分に速くできるから、大枚はたいての購入は見合わせたほうがいいよ」






ちょうど今月半ばに旦那ともども帰省してくるので持ち帰らせればいい、ということで、次のような対応をすることにしました。



  1.  Thunderbolt 1 対応の SSD を用意する



     現在 Thunderbolt 1 対応の SSD は Transcend StoreJet というデバイス
     しかないので、これを入手します。










     速度性能は次のようになっています。

      Seq. Read : 440 MB/s
      Seq. Write: 300 MB/s


     SATA SSD としては普通の性能です。


     Seq. よりも Random 性能のほうが実運用上は重要なのですが、仕様には
     記載がなく測定してみないとわかりません。


     想定では SanDisk SSD が 100 MB/s 越えなので、同等くらいにはなると
     考えていますが、どうでしょうか。




     
  2.  SSD に High Sierra をインストールし、外付けの起動用 SSD として使えるように
     する


     iMac の Thunderbolt 1 ポートに接続して使えるようにします。





こうすることで、iMac Mid 2011 が生き返るはずです。



High Sierra は Catalina の次の macOS がデリバリーされるまではセキュリティアップデートサポートされるはずですから、少なくとも今秋まではサポートが継続されると思います。




ですので、Mojave または Catalina でなければならない理由はとくにはなく High Sierra で十分と思います。



また、今現在の Catalina はおすすめできる状態ではないので、もっと安定してから iMac を買い換えるほうがいいと思います。







まずは High Sierra のインストーラーを Apple Store から入手します。



Apple の公式ページ "MacOS High Sierra にアップグレードする方法" の中の「4 MacOS High Sierra をダウンロードする」の項目にある「こちらのリンク」をクリックすると次のようなウィンドウがでますので、 "Apple Store" にカーソルを合わせて【リンクを開く】をクリックします。








Apple Store の macOS High Sierra インストーラーの「入手」画面になります。








【入手】をクリックすると、我が家の iMac 2019 では次のように「ソフトウェア・アップデート確認画面」で、最終的に「アップデートが見つかりません」となってダウンロードはできません。


iMac 2019 は初期 OS が Mojave なので、これよりも古い High Sierra のダウンロードはできないのです(Mojave や Catalina ならばダウンロードできます)。














そこで MacBook Air Mid 2012 を使って同じ手順で High Sierra を入手・ダウンロードします。


MacBook Air Mid 2012 では「ソフトウェア・アップデート確認画面」で「ダウンロードしてもよろしいですか」となるので【ダウンロード】をクリックするとダウンロードされます。








数分でダウンロードが完了すると、次の画面がでますが【終了】をクリックします。









Mojave から High Sierra へのダウングレードになりますので、このメッセージがでますが、インストーラー自体は「アプリケーションフォルダ」にダウンロードされています。




ターミナルから次のコマンドを打って、インストーラーを USB メモリ(ボリューム名:MYMAC)に焼き込みます。


 $ sudo /Applications/Install\ macOS\ High\ Sierra.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/MYMAC --applicationpath /Applications/Install\ macOS\ High\ Sierra.app --nointeraction



いったん MacBook Air をシステム終了します。




前記の Transcend StoreJet SSD が届く前に手持ちの SanDisk SSD を使って一足先に High Sierra をインストールしてみます。



 "option" キーを押しながら電源オンにすると起動ディスク選択画面になりますので、インストーラーを焼き込んだ USB メモリを選択し、画面指示に従って操作していくと、作成先ディスクを問われますから、外付け SSD を選択して起動ディスクを作成します。


すべて終われば再起動されます。




一応、SanDisk SSD での High Sierra の起動確認はできました。





あとは Transcend StoreJet が届いたら、High Sierra をインストールした SanDisk SSD から CCC 5 を使ってクローンを作ればそのまま使えるようになります。







長女が所有する iMac Mid 2011 の USB ポートは USB2.0(最大 480 Mbps)なので、USB ポート接続では Seq. R/W は内蔵 HDD よりも遅くなってしまいますが、Random R/W は内蔵 HDD の 10 数倍の速さですからこれでも効果は期待できます。



今回は、 Thunderbolt 1 接続ですから Seq. R/W はもちろん、Random R/W も速くなるはずです。






現品が届いたら MacBook Air Mid 2012 の Thunderbolt 1 ポートに接続して速度計測してみます。



MacBook Air Mid 2012 の Thunderbolt 1 は iMac Mid 2011 と同じ規格なので iMac でも同等の性能になると思われるからです。



USB2.0 および USB3.0 での計測も合わせて行ってみるつもりです。




MacBook Air Mid 2012 は USB3.0 ですが、USB2.0 ケーブルを使用すれば USB2.0 ポート接続相当の計測値が得られます。





USB2.0 は iMac Mid 2011 の USB ポートを想定です。



USB3.0 は、Mac を将来買い替えた場合には USB ポートが USB3.0 のはずですから、そこに接続してほかの用途に転用した場合を想定します。



あるいは iMac HDD モデルを買って、この SSD を継続して起動ディスクにしてもいいわけです(Catalina で焼き直しが必要ですが)。









【 2020-01-07  Transcend StoreJet 届く 】



早速開梱します。








ケーブルは Thunderbolt 1(♂ -- ♂:写真左下・右)、と Micro USB-B 〜 USB-A(♂ -- ♂:写真左下・左)が同梱されています。




本機をひっくり返して四隅のゴム足部分を剥がすとネジが隠れていて、これを外すと中を開けられるようです。


ですので、もう少し性能のいい SSD に交換することもできなくはないようです。






Thunderbolt 1 は 10 Gbps ですが、内蔵されている SSD は SATA ですので最大 6 Gbps です。


USB 接続仕様は USB3.1 Gen1 ですので、最大 5 Gbps です。



つまり、Thunderbolt 接続でも SATA 最大 6 Gbps 以上にはなりません。



また、USB3.1 Gen1 接続の場合は最大 5 Gbps ですからこれ以上にはなりません。



ですので、Transcend のいう、【読み出し:440 MB/s】、【書き出し:300 GB/s】はまぁこんなもんか、と。




Thunderbolt 1 ケーブルが同梱されているのは評価できます(このケーブルだけで 3,700 円くらいします)。


このデバイスは現在 Amazon で 15 K 円ほどしますが、「SSD + ケース + ケーブル2種類 + (販売店や Amazon の取り分)」なので、ほぼ価格と釣り合っています。




Thunderbolt 1 接続と USB-A(USB3.0)のいずれでも接続できますが、「同時接続はしないでください」と注意書きにあります(当然ですよね)。




あとは、Transcend 製品のミニパンフレットと "Quick Installation Guide" ですが、この "Quick Installation Guide" には各国語で「サポート&ダウンロードサイト」と「保証・免責規定サイト」の URL が書かれているだけですから、厳密にはインストールガイドではありません。




ディスクは macOS 拡張ジャーナリングでフォーマット済みになっていて、管理用ソフトウェア等が 2つのフォルダに入っていますが、これはサポートサイトでもダウンロードできます。


マニュアルも同様にサポートサイトでダウンロードできますがこの「マニュアル」はほとんど役にたちません。


たとえば、最初から焼き込んであるソフトウェアが何のソフトウェアでその使い方や説明書がどこにある、とかの体系だった記載はなく、不親切ですね。


管理用ソフトウェアとリカバリ用ソフトウェアに関してはそれなりのマニュアルがありますが、これらもホームページをあれこれ探して見つけて中を見て初めてこれらのソフトウェアの役割とか使い方がわかった、という状況です。







ソフトウェアは必須ではないので使わなくても構いません。


データ用の外付け SSD ディスクとして使うのならば搭載されているソフトウェアの使いみちもありそうですが、起動ディスクにする場合は「邪魔」なだけです。




Windows で使う場合はドライバーをインストールして FAT でフォーマットし直す必要があるようです。





” for Mac" といっているだけあって、Mac 使用が優先です。


Mac 優先の製品は Apple 以外では初めてです。






ディスクユーティリティで改めて拡張ジャーナリングでフォーマットし直して、先に作っておいた SanDisk SSD の High Sierra を CCC 5 でクローン作成(フルコピー)しました。






起動確認も終えて実測です。



測定は MacBook Air Mid 2012 にて行いました。


iMac Mid 2011 と同じ Thunderbolt 1 を備えた機種です。




1.Thunderbolt 1 接続での測定結果








  Seq. R は 400 MB/s には届いていませんが、Seq. W は 300MB/s を越えています。


  
  実際上の性能を左右する Random R/W は SanDisk SSD よりもかなりスコアはよく、
  「驚く」ほどの性能のよさです。




2.USB3.0 での測定結果








  Seq. R/W は Thunderbolt 1 接続時よりも少しいいスコアですが、
  Random R/W は劣ります。


  この性能値は Sandisk SSD とほぼ同水準です。






3.USB2.0 での測定結果


  USB2.0 ではこれまでの SanDisk での検証からは HDD に比して
  Seq. R/W は半分以下、Randam R/W は 10 MB/s 以上でると
  予想しています。

  どれくらいのスコアでしょうか。








  ほぼ予想通りですが、SanDisk SSD よりもわずかに下回っています。






全体的に Seq. R/W は SanDisk SSD よりは少し劣るが、Thunderbolt 1 接続時の Random R/W は大きく上回っている、という結果です。



実運用上は Random R/W 性能の方が効いてきますので、それなりの性能向上が期待できそうです。




実際に MacBook Air Mid 2012 を使って High Sierra 起動ディスクとして起動すると 20 秒足らずで起動します。


これは MacBook Air Mid 2012(Mojave)の内蔵 SSD での起動時間が 28 秒ほどかかっているのに比べてとても速い、といえます。




やはり Random R/W 性能が効いていると思われます。




「このMacについて」を見ると起動ディスクが本品になっているのが見て取れます。









次に示すのは、本品の接続状態です(Thunderbolt 1 接続)。









TRIM サポートはこの時点では「いいえ」です。


ターミナルを起動して ”sudo trimforce enable" を実行します。


これで「はい」になる場合とならない場合があるようですが、今回は「はい」になりました(ならなかったら別の手段で TRIM on にします)。



ターミナルでの本コマンド実行後は再起動になりますので "y" で再起動します。




再起動後のデバイスの状態は次のように TRIM サポートが「はい」になっています。











欲をいえば、せっかく Thunderbolt 1(10 Gbps)対応してくれているので、M.2 SSD でも積んで 1 GB/s くらいの速度をだして欲しかったのですが、Random R/W は Samsung 970 EVO Plus の USB3.1 Gen1&2 接続時よりもいいスコアなので、まぁ由としましょう。







USB3.0 ポートを持つ機種ならば、SSD は他にもたくさん選択肢がありますので、この機種はコストパフォーマンスの点でおすすめではありません。



また、Thunderrbolt 3 ポートを持つ機種ならば本品ではなく M.2 NVMe SSD で爆速にすることも可能です。




ですが、Thunderbolt 1 & USB2.0 しかない Mac の場合は「これしか」ありません。




少し劣りますが 5K 円程度以下で収めたいならば、USB2.0 接続する手もあります。


この場合 Seq. R/W は HDD よりも劣りますが Random R/W は HDD の 10
倍以上ですから、実感性能は確実に向上します。






ちなみに iMac 2019 の USB3.0 ポートへの接続では次の実測結果です。




同じ USB3.0 ですが、MacBook Air よりも全体的にいいスコアです。


とくに Random R/W は 30 〜 60 % ほど上回っていますね。










同じ USB3.0でも 2012 年の実装と、2019 の実装では異なるということでしょう(最近の方が当然性能がいいということですね、逆だと問題ですが)。




当初の目的であった iMac Mid 2011 の高速化はできる、ということになります。


あとは長女に持ち帰らせるだけです。










【 2020-01-16  長女夫婦が帰省 】


一時帰国してきましたので、仮の「AppleID/PW,MacログインID/PW」で設定していたのを長女の iMac の「AppleID/PW,MacログインID/PW」で設定し直しました。


長女の iPhone に認証要求がきましたから、その認証コードを入力して今回作成した外付け SSD が現時点での長女の iMac 起動ディスクに変身しました。




これを持ち帰って接続して起動すれば晴れて iMac Mid 2011 が蘇るはずです。




iMac を買い換えるのは Catalina 後継 OS がデリバリーされてからでもいい、ということでしばらくは High Sierra で使うといっていました。













6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

サンダーボルト1のSSDはほとんどないですよね。SSDへのインストールは、「SanDisk SSD の High Sierra を CCC 5 でクローン作成(フルコピー)しました。」とありますが、インストーラを使ったのではないんですか?

bike86-3 さんのコメント...

こんにちは。

現在は Thunderbolt4 になっており、3 もまだ健在ですが、1 と 2 は事実上消滅ですね(対応するデバイスがありませんし、コネクターも手に入らないでしょう)。

CCC 5 は完コピーできて、インストールに比べて大幅に時間短縮できていましたから使いました。

現在のファイル形式には対応できていないので完コピーができなくなりました。

しかし、できるだけ短縮のため macOS インストールのみにして、データは外付け SSD で対応しています。

匿名 さんのコメント...

こんにちは。ご返信ありがとうございます。

私もimac 2011 Mid (激遅)だったので、サンダーボルトを今回初めて使って外付けSSD起動にしようと思い、SSD(typeC端子)を購入したのですが、

①iMac(サンダーボルト1)→純正サンダーボルトケーブルオスオス→純正変換アダプタ(サンダーボルト2toサンダーボルト3)→SSD
SSDに認識されず、Apple サポートセンターに電話しましたが、そもそもケーブルと変換アダプタがiMac2011に対応してなく、、サポート切れなので売ってもなく、、
いろいろネットで探して秋葉原のネットショップでサンダーボルト1対応SSD, JetDrive855 Thunderbolt PCIeSSD 480GB(480GBで結構高い...)を見つけました

②iMac→SSD (サンダーボルト1端子)

で無事接続され、試行錯誤した挙句、本日何とかSSD起動することができました!

結果、読み書きが約10倍くらいになり、アプリ起動、ファイル操作、ブラウジングその他すべてが爆速になって狂喜しております(笑)

1週間くらい色々調べたり試行錯誤したので本当に嬉しかったですね。。勉強にもなりましたしww
M1 のiMac 買おうとしてましたが、M2 or M3 が出るまでまだまだ使えそうです(笑)

2011はサンダーボルトついてすげーみたいなこと当時言ってましたが、端子が珍しすぎて全く使えませんでしたね...appleに見放された端子とも聞きますし。。。

長文失礼いたしました!

bike86-3 さんのコメント...

おはようございます。

本記事で Thunderbolt1 対応の SSD で激遅 iMac Mid 2011 を復活させましたが、娘はその後 iMac を買い替えました。

iMac mid 2011 は High Sierra 止まりなので OS サポートとセキュリティアップデートを考えると早晩買い替えた方がいいかも知れません。

今年末頃には M3 iMac が出るそうですので、それが買いどきでしょうか。

匿名 さんのコメント...

サンダーボルト1に関する記事はネットでもほとんど見つからなかったので、貴重であり、大変助かりました。ありがとうございます!
たしかに性能は復活しましたが、セキュリティの問題がありますね。。
M3 iMac(24 or 27inch?)でたら、今度は買い替えようと思います。それまではこのマシンを使い倒します。
外付けのSSDつけるだけでこんなにも改善するとは、コスパ良すぎですね。HDDだから遅いだけで、今後のiMacはおそらくSSDでしょうがwww

bike86-3 さんのコメント...

こんにちは。

Thunderbolt1 対応の SSD を探して唯一 Transcend StoreJet SSD が見つかったので娘の iMac mid 2011 の高速化をしてみて、それを記事にしました。

お役に立てて何よりです。